KEY TAKEAWAYS

この記事のポイント

  • 発行済みと将来の権利行使を仮定した表を区別する
  • 希薄化の分母と計算前提を説明する
  • 契約上の権利は資本政策表と別に確認する

現在地は、株主名簿と契約から揃える

資本政策の議論は、将来の評価額からではなく現在の権利関係から始めます。編集部の提案は、発行済株式の記録、株主名簿、付与済みの新株予約権、既存契約を同じ基準日で整理することです。作成担当が違う表をそのまま合わせると、対象日や分母の違いで持分が食い違うことがあります。

発行済み株式だけを分母にした表と、将来の権利行使などを仮定した表は区別して表示します。未発行の枠と、すでに付与した権利も同一ではありません。表の注記に、何を含め何を含めていないかを残してください。数字が整っていても、原資料との一致が確認できなければ現在地の確定には使えません。

希薄化を、単純な仮例で確認する

米国SECの小規模企業向け用語集は、新株発行によって既存株主の保有割合が小さくなることを希薄化として説明しています。概念を理解する仮例として、創業者が普通株式一〇〇株を保有し、新たな投資家に同じ種類の株式二五株を発行すると、総数は一二五株、創業者の割合は八〇%です。

この仮例は、種類株式、新株予約権、転換条件、手数料などを含めていません。実務でそのまま使える取引条件や法的な結論ではありません。編集部は、計算表の上部に前提を置き、前提を変えたときにどの数字が動くかを確認する練習を勧めます。小数点の精度より、分母と条件を説明できることが大切です。

持分の数字だけでは、権利を説明できない

投資後の持分割合が同じでも、契約で定める同意事項や情報提供の範囲は異なる可能性があります。資本政策表は、会社の権利関係のすべてを示すものではありません。株式の種類、議決に関する扱い、将来の発行に関する条項など、別に読まなければ分からない事項を一覧へ紐付けます。

編集部の実務案では、各条件の「根拠資料」「確認担当」「未解決の質問」を一緒に管理します。創業者が一人で一般的な割合の目安を当てはめるより、投資家と専門家が同じ版を見て議論できる状態を作ります。米国資料で説明される制度や契約の考え方を、日本の会社へそのまま適用しないことも必要です。

採用と次の調達まで、複数の姿を並べる

次回の調達を一つの想定だけで作ると、評価額や発行条件が変わった際に判断が止まりやすくなります。編集部は、追加採用の予定、調達時期、必要額が異なる複数の案を並べる方法を勧めます。まだ決定していない条件を契約済みと見せず、誰の承認が必要かも整理してください。

更新時には版番号と基準日を残し、投資家へ渡した版と社内の最新版を追跡します。表を共有する相手と閲覧範囲も確認し、個人情報や契約全文の不用意な拡散を避けます。個別の発行手続き、税務、契約の効力については、会社の所在地と実際の契約に通じた専門家の確認が必要です。

SOURCES & VERIFICATION

出典・確認情報

下記の一次情報を参考に、編集部が独自に構成した解説です。各資料の制度・法域・対象を確認し、個別判断は担当窓口や専門家にご相談ください。

  1. SEC|Small Business Glossary確認日: 2026年11月8日
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